アメリカの大統領選挙の結果は前評判ではヒラリークリントン氏の当選が予想されていましたが、結果はトランプ大統領が当選となりました。トランプ大統領が当選した背景には、現在のアメリカにある格差と現政権への政治不信が強く影響していたようです。
そして、トランプ大統領が当選した後、相場は一旦は株が売られて大きくリスクオフへと傾きましたが、当日に値を戻す荒っぽい展開となりました。
専門家たちの事前の話ではトランプ大統領となれば、想定外の混乱と先行き不安から相場は暴落するトランプリスクがあると言われていたので、株価や為替が値を戻したのは市場参加者たちにとっては予期せぬ出来事だったといえます。
ドル円も、一旦は101円台まで値を下げましたが、そこから反転すると当日高値を超え106円にせまるとこまで上昇しました。
はたして、これは一時的な反転なのかは時間が経過してみないとわかりませんが、今後の相場の動向を考えるためにもドル円が値を戻した理由を確認しておく必要はあります。
現在は「トランプ氏の保護主義的な貿易政策が物価上昇につながるとの見方から債券が売られ米国債の利回りが上昇したことがドル買いにつながった」という見方でドル円は上昇したことになっています。
その他の理由では下のような理由もドル円相場の上昇圧力となった可能性が考えられます。
・トランプ大統領の当選と合わせて米上院、下院が共和党多数となったことで米議会のねじれが解消し、今後の政権運営に期待が持てるとポジティブに捉えられた。
・トランプ氏の当選前の主張では日米安保条約に不透明感が出るため、日本の安全保障への不安から円が安全通貨とはならなくなると判断された。
・アメリカ大統領選というマーケットにとって影響のありそうなイベントが良くも悪くも結果が出たことで相場の方向性が出るようになった。
とにもかくにも、現在のマーケットの動向は事前の想定外の値動きとなっていますが、相場とはそういうものです。
チャートを見ると大統領選の結果を受け一旦は下抜けをしたものの、安値は更新せずに大幅な反発をもって上昇トレンドに戻ってきているとみることができます。
トランプ大統領の誕生はドル安要因だというのは専門家の主な意見ですが、過去のデータでは大統領選の翌年は大きく円安ドル高へすすむ傾向がありました。トランプ大統領の当選という結果を受けてマーケットの本質的な方向性が大きく変わった可能性もあります。トランプ大統領の政策がドル安傾向なのは確かなようですが、決めつけてマーケットに向き合うと足元をすくわれてしまうかもしれません。ある程度頭を柔軟にして対応する必要がありそうです。